大切な人を亡くしたあと、遺された品々を前にして「どうしても手がつけられない」と感じていませんか?
悲しみや喪失感が大きいと、気持ちの整理が追いつかず、どこから始めていいかもわからない——。そんな状態は決して珍しいことではありません。心がつらい中で無理に片づけようとしても、かえって苦しくなってしまうこともあります。
この記事では、「遺品整理ができない」と感じているあなたのために、気持ちの面・物理的な負担・家族間の問題など、さまざまな“壁”をどう乗り越えていくかを丁寧に解説します。
誰かに頼ってもいい。時間をかけてもいい。
まずは「できない自分」を責めず、少しずつ前を向くためのヒントを一緒に見つけていきましょう。
豊富な実績を持つ遺品整理の専門店「株式会社ココロセイリ」の代表取締役社長
目次
なぜ「遺品整理ができない」と感じてしまうのか?
遺品整理がうまく進まないのには、いくつかの理由があります。無理もありません。心の問題、体の負担、環境や人間関係——どれもすぐに解決できるものではないからです。
ここでは、よくある「整理ができない」原因を4つに分けて解説します。
気持ちの整理がついていない(悲しみ・ショック・罪悪感)
亡くなった方の思い出が詰まった品々を前にすると、悲しみや喪失感があふれ、作業が手につかなくなるのは自然なことです。
「捨ててしまっていいのか」「自分がやってしまっていいのか」といった罪悪感が心を締めつけ、動けなくなってしまう方も少なくありません。
何をどう片付ければよいのかわからない(知識・手順の不足)
遺品整理には、相続や形見分け、貴重品の保管、不用品の処分など、想像以上に多くの判断が伴います。
何から始めればよいのか分からず、「面倒そう」「失敗したらどうしよう」と感じて後回しにしてしまうケースもあります。
物理的に作業が難しい(遺品の多さ・遠方・高齢・忙しい)
高齢や体調不良、仕事や育児で多忙など、身体的・時間的な理由から作業に着手できない方も多くいます。
また、実家が遠方にある場合は、頻繁に足を運べない・移動費がかかるといった事情で進まないこともあります。
相続や家族間の調整がついていない(法的・人間関係の壁)
「誰が片付けをするのか」「何をどう分けるのか」といった点で親族間の意見が食い違い、遺品整理が進まなくなることもあります。
また、相続放棄を検討している場合など、法的な手続きとの兼ね合いで、うかつに片付けられない状況もあります。
「遺品整理ができない」ときの4つの対処法
遺品整理ができないのは、決してあなたの「怠慢」や「甘え」ではありません。むしろ、心や体が今はまだ準備できていないという、自然なサインとも言えます。
ここでは、無理なく遺品整理に向き合っていくための対処法を4つご紹介します。
①気持ちが整うまで、あえて「待つ」
悲しみが強いときや、気持ちが不安定なときは、無理に作業を進める必要はありません。
感情にフタをしたまま片づけを始めると、あとで後悔したり、心に大きな負担が残ったりすることも。
落ち着いて向き合えるまで、数週間〜数か月待つという選択も、自分を守るために大切な方法です。
②1人で抱え込まず、家族・知人に相談する
誰かと一緒に行動するだけで、気持ちの負担はぐっと軽くなります。
家族や信頼できる友人に、「どうしても自分だけでは難しい」と相談してみましょう。
話すことで感情の整理が進み、助けを借りることで物理的な負担も分け合うことができます。
③片づけやすいものから始めてみる(ゴミ・衣類など)
遺品の中でも、明らかにゴミとわかるものや、不要な衣類などから手をつけると、少しずつ気持ちが整っていくことがあります。
「今日はこの引き出しだけ」「この箱だけ」など、範囲を決めるのもおすすめです。
小さな達成感を重ねることで、作業全体へのハードルが下がっていきます。
④遺品整理業者を頼る
「どうしても自分では無理」「片づけるたびにつらくなる」——そんなときは、プロの力を借りてもかまいません。
遺品整理業者は、感情面にも配慮しながら、必要な作業をスムーズに進めてくれる存在です。
時間や体力が限られている方、心の整理が難しい方にとって、頼れる味方となります。
つらさが強いときに頼れる支援機関・グリーフケアとは
遺品整理に手がつかないほどのつらさや喪失感は、決して珍しいことではありません。
大切な人を失ったあとの心の痛みは「グリーフ(悲嘆)」と呼ばれ、少しずつ癒していく時間と支えが必要です。
ここでは、深い悲しみと向き合うための「グリーフケア」や支援機関についてご紹介します。
グリーフケアとは何か?悲しみと向き合う支援の仕組み
グリーフケアとは、死別や喪失を経験した人の心に寄り添い、感情の整理や回復を支援する取り組みのことです。
一人ひとり異なる「悲しみのプロセス」に対して、否定せず、急がせず、寄り添いながらサポートしてくれるのが特徴です。
近年では、医療機関や自治体、NPO法人などがグリーフケアの相談窓口を設けており、誰でも無料または低価格で相談できる場合があります。
心の整理をサポートしてくれる相談窓口・支援団体
心の整理がつかず、何も手につかないときには、専門の支援機関を頼ることも選択肢のひとつです。たとえば、次のような窓口や団体がございます。
- 自治体の福祉課や保健センター→ カウンセラーや精神保健福祉士への相談が可能な場合があります。
- 日本グリーフケア協会→ グリーフケアの考え方や支援活動を広く紹介しており、認定資格者による相談も。
- 病院の緩和ケア・精神科外来→ 医師や臨床心理士が喪失にともなう不安や抑うつへの対応をしてくれる場合も。
- 宗教施設(寺院・教会など)→ 遺族に対して法話や面談による心の支援を行っているところもあります。
「誰かに話すだけで救われる」ことも少なくありません。
抱え込まず、心のケアを受けながら、少しずつ前に進んでいきましょう。
どうしてもつらい…気持ちの負担を軽くする工夫
「片付けなきゃ」と思っても、どうしても体が動かない。
そんなときは、自分を責めるのではなく、気持ちを少しでも軽くする工夫を試してみましょう。
悲しみを受け止めながら、無理のないペースで向き合っていくことが大切です。
「写真に残す」ことで手放しやすくなる
思い出の品を捨てることに強い抵抗がある場合は、まずは写真に残してみましょう。
スマホで撮影しておけば、いつでも見返すことができますし、物としての整理はしやすくなります。
「モノを手放す=思い出を捨てる」ではありません。
形を変えて、心に残すことができます。
「思い出の共有」が悲しみをやわらげる
家族や親しい人と一緒に思い出を語る時間は、心の痛みを少しずつやわらげてくれます。
「あのとき、こんなことがあったね」と会話をすることで、故人を偲ぶ時間にもなり、自然と整理に向き合えるようになる方も多いです。
1人で抱えず、誰かと気持ちを共有することも立派なグリーフケアの一歩です。
「供養」として整理をとらえる意識の転換
遺品整理を「片付け」や「処分」として捉えると、どうしても心が苦しくなることがあります。そんなときは「供養」の一環として考えてみてください。
- きちんと手を合わせてから片付ける
- 思い出の品をお焚き上げしてもらう
- 遺品を寄付やリサイクルで社会に役立てる
こうした行動は、故人を想う気持ちを形にする供養にもつながります。
気持ちの区切りをつける助けにもなりますので、無理なくできる範囲から取り入れてみてください。
自分で整理できないときは、遺品整理業者の活用も選択肢
「どうしても手がつけられない」「物理的に対応が難しい」
そんなときは、無理をせず、専門の遺品整理業者に頼ることも一つの方法です。
最近では、心に寄り添う対応をしてくれる業者も増えており、信頼できるパートナーとして活用できます。
どこまで任せられる?遺品整理業者のサービス内容
遺品整理業者が行う主なサービスは以下のとおりです。
- 遺品の仕分け(必要・不要・形見分けなど)
- 貴重品・重要書類の探索
- 不用品の処分・リサイクル・買取
- お部屋の清掃や消臭
- 仏壇や写真の供養・お焚き上げ
依頼者の気持ちに配慮しながら、丁寧に対応してくれる業者も多く、希望に合わせた作業内容を選ぶことが可能です。
信頼できる業者を選ぶための5つのチェックポイント
安心して任せるために、以下のポイントを確認しましょう。
- 遺品整理士の資格を持つスタッフがいるか
- 見積書が明確・追加料金の説明があるか
- 古物商許可・一般廃棄物収集運搬の許可があるか
- 口コミ・実績が確認できるか
- 契約前に丁寧なヒアリングがあるか
「安いから」という理由だけで選ぶと、対応が雑だったり、不要なトラブルに巻き込まれたりする可能性もあります。
誠実な姿勢と、しっかりした対応力のある業者を選ぶことが大切です。
業者に依頼する際の準備・注意点
スムーズに作業を進めるために、以下の点をあらかじめ確認しておきましょう。
- 立ち会いの有無や日時の調整
- 残しておきたいもの・供養したいものの事前メモ
- 費用の相場感・作業範囲のすり合わせ
- 複数社の見積もり比較(相見積もり)
また、「整理は任せたいけど、判断は自分で行いたい」という方には、一緒に立ち会いながら整理を進める「同行型サービス」もおすすめです。
ご自身の希望に合ったサポートを選びましょう。
【注意】相続放棄を検討している場合の注意点
「遺品整理をしようと思ったけれど、相続放棄も考えている」
そのような場合は、先に行動を起こすことで、意図せず相続の意思を示してしまう可能性があるため、注意が必要です。
勝手な整理は相続放棄の妨げになる場合も
相続放棄は、「相続が始まったことを知ってから3か月以内」に家庭裁判所で手続きする必要があります。
この期間中に、以下のような行動を取ると、相続の意思があるとみなされることがあります。
- 遺品を売却・廃棄する
- 遺品の大半を自宅に持ち帰る
- 相続財産に手をつける
特に、「価値のあるものを持ち帰った」「形見分けを済ませた」という行為は、相続放棄を認められなくなるリスクがあるため、判断に迷ったら必ず弁護士に相談しましょう。
孤独死など衛生上の理由がある場合の例外対応
ただし、次のようなケースでは、例外的に「保存行為」として遺品整理が認められる場合があります。
- 故人が孤独死し、遺品から異臭や腐敗が発生している
- 近隣住民への影響があるため早急な片付けが求められる
- 建物の管理者から速やかな撤去を求められている
このような場合は、相続人としての責任ではなく、緊急避難的な措置と解釈されることがありますが、あくまで慎重に対応すべきです。
可能であれば、整理の前に写真を撮る・記録を残す・業者とのやりとりを明示するなど、証拠を残しておくことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
どれくらい時間が経ってから始めるのがいい?
明確な決まりはありません。
気持ちが落ち着き、「やってみようかな」と思えたタイミングがベストです。
無理に急ぐ必要はありませんが、賃貸物件などの場合は退去期日に注意が必要です。
また、相続に関わる場合は相続放棄の期限(3か月)にも留意しましょう。
全部捨てるのは罪悪感があるけど大丈夫?
その気持ちはとても自然なことです。
ですが、思い出や故人への愛情は「モノ」ではなく「心」に残るものです。
どうしても迷う場合は、写真に撮って残したり、ほんの少しだけ形見として保管したりといった方法で、心の区切りをつけることができます。
遠方でどうしても現地に行けない場合は?
近年は、立ち会い不要で対応してくれる遺品整理業者も増えています。
作業の前後に写真や動画で報告してくれる業者を選べば、遠方でも安心して依頼できます。
信頼できる業者を選ぶためには、実績・口コミ・許可の有無を確認しましょう。
気持ちが沈んでしまい、何もやる気が出ないときは?
無理をする必要はありません。
まずは、自分の気持ちを受け入れることが第一歩です。
誰かに話を聞いてもらったり、グリーフケアや相談窓口を利用したりすることで、少しずつ前向きな気持ちが生まれることもあります。
「できない」ことに罪悪感を持たず、時間をかけて進めていけば大丈夫です。
まとめ|「できない自分」を責めずに、少しずつ前に進んでいきましょう
遺品整理が「できない」と感じてしまうのは、決して弱さではありません。
それは、故人とのつながりを大切に思う気持ちの表れです。
悲しみで動けない、何から手をつけていいか分からない、物理的に難しい…。
そんなときは、自分を責めず、まずは一歩ずつ向き合ってみましょう。
頼れる人に相談したり、少しずつ簡単なものから始めてみたり。
それでもつらいときは、プロの手や支援機関に頼ることも立派な選択です。
遺品整理は、単なる片づけではなく、心の整理でもあります。
「少しずつでいい」と自分に言い聞かせながら、前に進んでいきましょう。
豊富な実績を持つ遺品整理の専門店「株式会社ココロセイリ」の代表取締役社長